好きこそものの – 鼻をこすれないプーさん

前回はWinnie-the-Pooh、くまのプーさんから少し長い一文を引用し、それを読み解くために必要な文法のネタばらしをしました。今回はネタばらしした内容に基づいて、この一文を英語の語順のまま読み解いていきます。ここでも目指すのは、先を予測しながら英文を英文のまま理解する英文Readingです。

英文を読み解く

まずは引用文をもう一度読んでみてください。

But his arms were so stiff from holding on to the string of the balloon all that time that they stayed up straight in the air for more than a week, and whenever a fly came and settled on his nose he had to blow it off.

ネタばらしした部分がどこにあるか分かりますか?では一つずつ読み解いていきましょう。

But his arms were so stiff:「stiff」は「固い」などの意味がある形容詞で、例えばstiff shouldersと言えば「肩凝り」という意味になります。これだけで「彼(プーさん)の腕はとても固かった」という意味で、「so stiff」は前回ネタばらしした「so … that 構文」の最初の「so 形容詞」の部分です。「とても固かったので〇〇だった」の〇〇に相当するthatで始まる分を探しながら読み続けましょう。

from holding on to the string of the balloon:この「from」は腕が固い理由を説明する「・・・だから」くらいに考えてよいでしょう。「holding on to the string of the balloon」は前回ネタばらしした「風船のヒモにしがみつく」という意味です。

all that time:これはよく使われる表現で、慣れると単語のカタマリとして認識できるようになるでしょう。今は「so」と対になる「that」を探しながら読み進んでいますが、all that timeが「あの時ずっと」という単語のカタマリだということが分かれば、このthatではなく別のthatを探しながら読み進めることができます。

that they stayed up straight in the air:(they) stayed up straight in the airは前回ネタばらしした部分ですね。thatの後に一文が続いているので、これが「so … that 構文」のthatの部分だと分かります。では、theyは何を指すか?この一文は「どれだけstiffだったか」を説明するもので、stiffだったのは「his arms」(プーさんの腕)です。つまりtheyはhis armsを指します。

好きこそものの
Up in the air (写真はイメージです)

for more than a week:forには色々な意味がありますが、次にmore than a weekという期間を意味する単語のカタマリが続くので、期間を表すforだと分かります。前の部分と続けると、プーさんの両腕は1週間以上真っ直ぐ宙に上がっていた、といった意味になります。すごい状況ですね。

, and whenever:ここまでで一文が完結して「, and」が来るので、次には別の独立した一文が来ると予測されます。そして・・・の時はいつも、といった一文が続きます。

a fly came and settled on his nose:flyは名詞にも動詞にもなりますが、直前に「a」が来るので名詞だと分かります。「a fly」は「(一匹の)ハエ」ですね。cameもsettledも動詞の過去形ですので、このandは2つの動詞を繋げるandだということが分かるでしょうか。(一匹の)ハエが来てとまる、といった感じです。
後に続くsettled on his noseは前回ネタばらししました。プーさんの話をしているので「his」は「プーさんの」ですね。前の部分と続けて、ハエが来てプーさんの鼻にとまるといつも、といった意味になります。

he had to blow it off.:「blow」は「吹く」などの意味で、blow offで吹いて落とす、といった意味になります。文脈を考えるとitが指すのはプーさんの鼻にとまったハエだと分かるでしょうか。(鼻にとまったその)ハエを吹いて落とさなくてはいけない、といった意味になります。
ちなみにWinnie-the-Poohには「rubbing his nose」という表現がよくでてきます。このrubは「こする」といった意味ですので、「鼻をこすって」という意味になります。鼻をこするのはプーさんのクセのようですが、腕が上がったままではそれも出来なかったようですね。

英文読解のアプローチ

今回は一文の読解にかなり時間をかけたので、英文読解には文法の知識と理解が必要、という印象を持たせてしまったかもしれませんね。これは間違いではありませんが、「文法を理解してから英文を読む」と解釈するのは短絡的だと言わせていただきます。まず英文を読んでみて、文法の理解は後からついて来る、というアプローチがあっていいと私は考えています。

好きこそものの
それが「相対性理論」であっても「くまのプーさん」であっても、英語で書かれた、自分が好きな読み物を見つけることが可能性の扉を開ける道につながる、かも。

「そんなこと出来るの?」って考えましたよね。全てを完璧に読みこなそうと思ったら、無理でしょう。けど、今回題材にしたのは「くまのプーさん」ですよ。全文を理解できなくても、大した問題じゃないですよね。それよりも、とりあえず読んでみて、なんとなく雰囲気が分かって、もっと分かるようになりたいな、という気持ちが沸いてきたら、それでもいいじゃないですか。

以前相対性理論の一文を読み解いた時に、英文Readingに必要な文法の知識は意外と少ないという話をしました。文法の知識を詰め込んで頭デッカチになるよりも、英文を読み慣れるために、まず何か読んでみましょう。好きこそものの、とは言いますが、まずは好きな英語の読み物を見つけて、英文を読むということがどんなことかなんとなく分かって、それから文法の理解を広げる、というアプローチがあってもいいのではないでしょうか。

2回に渡って文法の話が続いてしまいましたが、次回はやはりWinnie-the-Poohの中から面白い表現をいくつか紹介したいと思います。

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