ポケベルと少子高齢化:世界から見た日本

前回の予告はくまのプーさんの原文から面白い表現を紹介するということでしたが、ちょっと寄り道します。
以前CNNのインターネットニュースを題材に多読についてお話した時、最後に「世界は日本をどう見るか」ということに触れました。そのCNNの英文サイトで日本に関する面白い記事を見つけましたので紹介します。ただし前回までの「くまのプーさん」のように一文を丸々読み解くようなことはせず、外から見た日本はどう映るか、を主題に記事の内容を考察します。活きた英語を身につけるには異文化を理解することが大事です。

まずは記事を読んでみてください。え、無理、って思いましたか?読破するのが大変な人もいるかもしれませんが、サーッと見てみて、気になった部分だけでも読んでみてください。

Japan’s final pager service to end
https://edition.cnn.com/2018/12/03/asia/japan-pagers-intl/index.html

Pagerはポケベルのことです。つまり「Pocket bell」は和製英語ですね。日本の最後のポケベルサービスが終了するという話題です。前半は、ポケベルが携帯電話に取って代わられてついにサービスが終了すること、続いてポケベルを知らない世代のためにポケベルとは何かを説明しています。ここまでの内容は日本でもよく報道されていましたね。

次の話題は、私は日本の報道で目にすることはありませんでした。ポケベルのような古い技術が最近まで使われていることと日本の少子高齢化を関連付けています。

A reluctance to part with the old technology may also be due to Japan’s aging population. The country is considered a “super-aged” nation, defined as one where more than 20% of the population is over 65.
This year new government figures showed the number of children fell in Japan for the 37th year in a row. [Cable News Network, 2018]

少しだけ解説しますと、reluctanceは気が進まないといった意味の名詞で、よく使われる形容詞はreluctantです。「to part with」のpartは動詞として使われていて、part withで手放すといった意味になります。古い技術を手放すことを躊躇していた理由には高齢化もある、という見方です。このageという単語は「時代」という意味で覚えている人も多いと思いますが、「エイジングケア」などの表現でも使われるように、年をとるという意味の動詞としても使われます。

20%以上の人が65歳以上という数字や、37年連続で子供の数が減っているという政府の発表も衝撃的ですね。尚、このin a rowは「連続して」という意味の頻出表現です。

お気付きかもしれませんが、日本社会では頻出の「少子高齢化」に相当する簡単な表現はないようです。この一言を文章で説明しています。

続いて、日本の技術についても面白い見方をしています。

Japan may have a reputation as a high-tech mecca famous for electronic toilets and robots but certain seemingly outdated technology pieces of technology are popular, including fax machines. [Cable News Network, 2018]

日本がハイテクのメッカとして評されているのはいいのですが、そこで挙げられている例の一つがelectronic toiletsです。海外から来た人が最近の電子制御のトイレを見ると違和感を感じることでしょう。これは私の個人的な見解ですが、electronic toiletsは技術的に高度なわけではないので、要は技術力の高さよりも国民性だと思います。

Pager and aging population
海外では想像もつかないところで母国との違いを見つけることがある。写真は筆者がドイツ出張中に見つけた、背もたれのある便器。

最後は、日本人が遅れた技術を使うことについて、某大臣の例を挙げて締めくくっています。

The country’s minister of cybersecurity is perhaps the most telling example — last month, he admitted to reporters that he doesn’t use a computer. [Cable News Network, 2018]

これは、しばらく前に話題になっていました。訳すのがちょっと恥ずかしい内容ですが、すでに世界に配信されています。

世界は日本をどう見るか

人との会話を想像してください。相手が何を知りたいか気にせず、自分の言いたい事を言うだけの人と会話をすると、疲れますよね。もちろん英会話でもそれは同じで、例えば日本について説明する時、あなたは自分が言いたいことだけを言っているかもしれません。外国人のお客さんをお寿司屋さんに連れて行ったとしましょう。あなたは寿司ネタについて一生懸命説明したいかもしれませんが、その人が知りたいのは何故寿司屋の店員は大声を出すのかということかもしれません。

会話が一方通行にならないためには、自分が言いたいことと相手が知りたいことが違うかもしれないということを意識する必要があるかもしれません。そのためには、世界が日本をどう見ているか、知っておくのも良いでしょう。

次回は前回の予告通り、くまのプーさんの原文、Winnie-the-Poohの中から面白い表現をいくつか紹介します。

Cable News Network. (2018, 12 9). Japan’s final pager service to end. Retrieved from CNN International: https://edition.cnn.com/2018/12/03/asia/japan-pagers-intl/index.html
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