英語は誰の言葉?

いよいよFIFA World Cupが始まりますね。少し早い話ですが、来年はRugby World Cupが日本で開催されます。ところで、これらの大会に名を連ねる強豪国の名前に違和感を覚えたことはありませんか?England、Scotland、Wales、どれもよく聞く国名ですが、オリンピックでこれらの国の代表チームを目にすることはありません。

少し視点を変えてみましょう。このブログでは英語についてのお話をしています。英語とは文字通り「英国」の言葉ですが、英国って、どこにある国ですか?
前回の予告通り、今回はそんなことを知ったところでTOESICの点数が上がるなどの「実益」が無い話をします。が、英語でコミュニケーションを図るために大事なことだと私は考えています。

イギリスという国はない?

日本で「イギリス」と呼ばれている国は一般的にはUnited Kingdomと呼ばれていて、国連にもこの名称で加盟しています。口語ではU.K.とも呼ばれます。余談ですが、私の記憶では日本の外務省は以前「連合王国」という呼称を用いていましたが、これはUnited Kingdomの直訳ですね。現在の外務省では「英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)/United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」という長い呼称を用いているようです。ここで言うGreat BritainはEngland、Scotland、Walesの3つの王国で構成され、これにNorthern Irelandが加わってUnited Kingdomになります。(「加わって」という表現は適切ではないかもしれせんが、これについては別の機会に話しましょう)

サッカーやラグビーのWorld CupにはEngland、Scotland、Walesからそれぞれ代表チームが出る一方、オリンピックにはUnited Kingdomとして出場します。英国人の知人から聞いた話ですが、以前オリンピックにUnited Kingdomのサッカー代表チームを出場させるという話があったそうですが、実現しなかったということです。

World Cup on the Wall
Scotch whisky、Irish whiskey、Canadian whisky、American bourbon:壁の上ではもう一つのWorld Cupが繰り広げられる、かな?Canadaの旧都KingstonにあるIrish pubにて

お恥ずかしい話ですが、私が英国のこのような事情を理解したのは学校を卒業してからでした。中学校の英語の教科書には「イギリス = England」と書かれていましたが、これは酷いです。Scotland、Wales、Northern Irelandが考慮されていません。これを英国人が聞いたら機嫌を悪くするでしょう。しかし学校でこのように習ったので、そういうものだと思っていました。若い人に聞いたところ、今でも学校ではそのように教えているそうです。

このような誤認識は英語学習にどのような影響があるでしょうか。

相手を尊重する気持ち

今までに何度か述べてきたとおり、ここでは外国人と腹を割って話す英語力を目指します。そのためには相手の文化を理解して尊重する気持ちが必要でしょう。誤解しないでいただきたいのですが、これは相手の国のことを知っていなくてはいけないという意味ではありません。違いを尊重して、知らないことは学ぶ態度が必要だと考えています。イギリスがEnglandではないと指摘されて、学校でこう習ったんだからこれが正しいんだ、という態度を取っていてはコミュニケーションに支障もあるでしょうし、学ぶ機会を失うことにもなります。

最近の記事で何度か、英語のListeningにもSpeakingにも傾聴、すなわち相手の言葉に熱心に耳を傾けることだ大事だという話をしてきました。傾聴は単なるコミュニケーションのテクニックではなく、潜在的にも相手を尊重する気持ちが大切でしょう。

英会話を習い始めたけど、いざ外国人と一緒になると何を話せばいいか分からない、という人達にも会ってきました。そんな時も相手の国の話を聞いたり、自分の国の話をすることもIce breakerになります。実際、語学学校に通う人から「何を話したらいいんですか」と尋ねられたことがありますが、これを話せばいい、というものはありません。あえて必要なことを挙げるとしたら、話題の引き出しを増やすことと、そのための好奇心を育てることでしょうか。

British influence
かつて英国の植民地だったCanadaには英国の影響が残っていた。Americaとの国境に近いHalifaxにある史跡にて

英会話に役立つ知識や雑学

英会話学校に通ったり語学留学する人達が何を話せばいいか分からないということは、理解できなくもありません。よくある英会話クラスでは、その日の課題が与えられ、生徒同士でその課題に沿ったロールプレイをすることがよくあるようです。これは「習って慣れろ」の習う部分で、習ったことに慣れるためには何かトリガーが必要かもしれません。

先にも述べたように、話の引き出しが増えればそれだけトリガーもかけやすくなります。そのための情報はどこにでもあります。そこから自分に合った情報を拾うためには好奇心というアンテナを張ることが必要で、そのアンテナの感度を上げるために必要なのは他文化を尊重する気持ちではないでしょうか。

場所が変われば変わる英語

さて、かなり話が大きくなりましたが、そもそもの始まりは英語が生まれた英国ってどこ、という話でしたね。この英語という言語も使われる場所により変化してきました。イギリス英語(British English)とアメリカ英語(American English)の違いはよく話題になりますが、その他の英語を母国語とする国で使われる言葉、例えばCanadaのCanadian EnglishやAustraliaのAussie English、New ZealandのKiwi Englishなど、様々です。まさに英語は誰の言葉?となりますね。

やはりこれらの異なる英語を尊重する気持ちは大事でしょうし、その違いに気付くためには好奇心と言うアンテナが必要だと私は考えています。次回はこれらの異なる英語について、経験を踏まえた話をしたいと思います。

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