「海外に住めば英語が話せるようになる」のワナ

日本人には漠然と「海外に住めば英語が話せるようになる」と考えている人が多いようですが、世の中そんなに甘くありません。これは海外に住んだことがある多くの人が理解できるのではないでしょうか。

初めての海外でショックを受けたこと

前回の記事に書きましたが、私は青年海外協力隊の隊員として初めて海外に行きました。
派遣国であるトンガ王国は南太平洋にある小さな島国で、まずはその地域を管轄する日本大使館があるフィジーに表敬訪問しました。そこで先輩隊員と現地の協力隊事務所の方々と話す機会があったのですが、軽いショックを受けました。そこで一年以上働いている先輩隊員が話す英語がすごくブロークンなんです。

英会話学校の経営者の方が言ったことを思い出し、このままでは自分も満足な英語を話せるようにならないまま任期の2年間が終わると思いました。

帰国後は元の職場に復職することが決まっていて、職場の人達に英語が完璧になって帰ってくると思われることは予期していました。このままではいけないと思い、トンガで生活を始めてからは、仕事が終わった後は自宅で日本の英会話教材を使って勉強していました。
後で分かりましたが、これは良い選択でした。教材を使って勉強したことを日々の生活の中で実践していたのです。つまり、「習って慣れろ」を日々続けていたのです。

帰国してからの苦労

2年の任期を終えて帰国して待っていたのは周りの人からの期待でした。当時の私の英語のレベルは日本人の平均よりはるかに上でしたが、人と比較しても意味はありません。復職後は海外の子会社と一緒にする仕事をしていましたが、英語で業務をこなしていくにはまだまだ足りないレベルでした。

しかし周りの期待は巨大で、「そんなにすごい英語のレベルじゃない」と本当のことを言っても、謙遜だと思われて誰も信じてくれませんでした。辛かったですね。
そもそもトンガでは英語は第二公用語として使われていましたが、彼らの母国語はトンガ語です。その国で話される言葉も知らない人に「英語は完璧だ」と思われるのは不思議でしたが、日本人はそう思い込むものだと、あきらめるしかありませんでした。仕方ないので、周りが期待するレベルに達するために日本に帰って来てから猛勉強しました
今の自分があるのは実は帰国後に日本で猛勉強したからなのです。

なぜ海外に住んでも英語が話せるようにならないか

ではなぜ海外に住んでも英語が話せるようにならないのでしょうか。理由はそんなに難しくありません。

そもそも英語が理解できていない

前回、英会話教室の経営者の方に「海外に出るまでにどれくらいのレベルに達するかが大事」だと教わったと書きました。そもそも英語が分からなければ相手が言っていることが理解できませんし、理解できたと思っていても、実は無意識に自分が知っている受験英語に変換して理解していることが多いようです。

後で英語のListeningとSpeakingを上達させるシャドーイングというテクニックを紹介しますが、これを行うと自分の耳に入った英語と頭で理解する英語が別物であることが分かります。

周りの人が自分の英語を直してくれるわけではない

これは逆の立場で考えると簡単でしょう。自分の周りに外国人がいて、変な日本語を話したとしたら、あなたはその人の日本語を直してあげようと思いますか?それと同じで、海外に住んで間違った英語を使っていても、それを直す方法を知っていて、かつ直してあげようと思う親切な人はそんなに多くないでしょう。

日本語を知らない人が日本人の間違った英語を直すのは難しい

では海外で英会話学校に行く、つまり語学留学すればいいと思うかもしれません。しかし語学学校の先生であっても、「それは違う。正しくはこうだ」と言えても、なぜ違うのか説明できる人は多くありません。

私はカナダで日本語を教えた経験もあります。実は私は英語の他に韓国語とスペイン語を少しかじったことがあります。ですから母国語が英語、韓国語、スペイン語の人の日本語の間違いを説明することはできますが、それ以外、例えば中国人留学生には「それは違う」と言うことしかできず、生徒も消化不良を起こすことがありました。

これから海外に行く人へ

とは言ったものの、海外に住んでキレイな英語を話せるようになった人達にもたくさん会ってきました。彼らは何が違うのでしょうか。私が見つけた彼らの共通点は、

  1. 頭が柔らかい
  2. 英語をしゃべることを恐れない
  3. 自助努力を惜しまない

ということです。次回はこの3つについてもう少し話してみます。

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