Listening & Speakingの基礎、シャドーイングの効能

英語の4つの要素を組み合わせる勉強法の始めに習いたいのはListening & Speakingです。前回説明した概要で「発音できない音は聞き取れない」とさらっと言いましたが、これを詳しく解説しましょう。

Quaternity, Listening & Speaking

シャドーイングとその効能

ListeningとSpeakingを上達させるために効果的な「シャドーイング」という学習方法があります。用意するものはネイティブスピーカーが自然に話している音源と、それを文章にしたもの。日本語訳もあるといいでしょう。学習法は単純です。音源を聞いて、聞き取ったことをちょっと遅れて口に出す。ただこれだけです。影のようについていくのでシャドーイングと呼ばれます。

やってみると、まぁ、まずできないでしょう。それでいいです、今は。私もそうでした。

駄目だ、とあきらめる前にシャドーイングの効能について説明しましょう。これだけ効能があれば、簡単にはあきらめられないはずです。

何が聞き取れていないかが分かる

シャドーイングに慣れていないと口から泡を吹いて「こんな早口じゃしゃべれない」と思うかもしれません。しかし実際は英語のネイティブスピーカーは早口なのではなく、日本人と違う話し方をしているだけです。聞き取ったことをそのまま口にしているつもりでも英語のナチュラルスピードで話せないということは、実は正しく聞き取れていない、ということに気づくことができます。

この英語と日本語の話し方の違いを認識するために、シャドーイングではまず以下の3点を意識してみましょう。

リエゾン

英語では子音で終わる単語の次に母音で始まる単語が続くとひと続きの音になります。これは「グチャグチャ英語」とも形容されます。日本人は単語を一つひとつ発音してしまうのでネイティブスピーカーのナチュラルスピードについていけなくなります。

例えば、The Beatlesの「Let it be」をカラオケで歌うとします (ネイティブスピーカーと同じ速さで口に出すという意味で、シャドーイングとカラオケは共通性があります)。サビの「Let it be. Let it be…」を

レット イット ビー。レット イット ビー。レット イット ビー。オー、レット イット ビー。

と歌ったら口から泡を吐くでしょう。しかしこれはジョン・レノンが早口で歌っているからではありません。では、どのように歌えばいいか。ジョン・レノン、あるいは歌が上手いネイティブスピーカーがどのように歌うかよく聴いてみましょう。

先に述べましたが、聞き取ったことを口に出したつもりでも、それが言えていない。これはつまり聞き取れていないという意味です。実は裏を返せば、グチャグチャ英語を聞き取るためにはグチャグチャ英語を言えるようにする、ということです。

音節 (syllable) が違う

日本語の音は基本的に子音と母音の組み合わせです。例えば日本語の「クリスマス」という単語には「ク・リ・ス・マ・ス」と5つの音節がありますが、英語の「Christmas」という単語の音節は「ˈkrɪs・məs」と2つになります。ここに5つの音節を詰め込んだら口から泡を吹いても仕方ないでしょう

口から泡を吹く単語は聞き取れていないと思ってください。これもグチャグチャ英語と同様に、聞き取るためには正しく発音できるようにしましょう。

音が変化する

これは後で時間をかけて説明しますが、今はそんなものもある、というくらいに理解しておいてください。

前述の「Let it be」を舌を噛まずに歌おうとして、子音と母音が続くとリエゾンが起こる!ということを意識して歌うとしましょう。それでも「レティッビー」と歌ったら、何か違いますね。まだちょっと口から泡が出てきます。実際はむしろ「レリビー」に近いです。実は「t」が「r」に変化しています

これもやはり、聞き取れるようになるためにはそれを理解して自分でも変化して発音できるようになることが重要です。

発音・リズム・イントネーションも真似できるようになる

英語を話すために発音ばかり気にする人をよく見ますが、発音と同じか、それ以上に大事なのは実はリズムとイントネーションです。これを真似できるようになるのはシャドーイングの大きな効能のひとつです。

例えば、この英文の意味が分かりますか?

He said that that that that that girl used was wrong.

ただの「that」の羅列に見えるのは、そこにリズムがないからです。発音が完璧でもリズムがなければ意味が伝わらなくなることがあります。このthatだらけの一文もリズムとイントネーションを加えるとそれぞれの「that」に意味を持たせることができます。で、この文章はどういう意味か?それは宿題にしましょう。

もしあなたの周りに関西出身の方がいるか、あるいはあなた自身が関西出身であれば、次の一文を読んでもらうか、自分で読んでみてください。

ちゃうちゃうちゃうん? ちゃうちゃう ちゃうちゃうちゃう。

そういうことです。これがリズムとイントネーションです。

発音が完璧でなくてもイントネーションとリズムをつけると英語っぽく聞こえるようになります。この発音・リズム・イントネーションについては後でもう少し詳しく説明します。

自分の言葉として話せるようになる

「ベストキッド」という、アメリカの少年が空手を習う映画を見たことがある人なら、きっと有名なシーンを覚えているでしょう。ある日少年は、ひたすら車のワックスがけをさせられる。別の日にはひたすらフェンスのペンキ塗りをさせられる。知らないうちに少年は、反射的に空手の防御ができるようになっていた。

シャドーイングにも似たような効果が期待できます。他人の言葉をひたすら繰り返すだけでも、それを重ねていくと、いつか自分の言葉としてそれが出てくるようになります。

シャドーイングの注意事項

そんなシャドーイングにもいくつか注意事項があります。次回は英語を無理せず上達させるための注意事項について説明します。

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