聞くは一時も恥にあらず:間違えは英語学習のチャンス

文法も単語も知らないから英語を話せない。そう言う人に私は何度も会ってきました。そう思う理由は様々だと思いますが、中には文法や単語を間違えてはいけないから話してはいけないと考えている人もきっといるでしょう。そういう人達に私は二つのことを伝えたいです。間違えてもいいから話すことと、間違えから学ぶということ。

間違えてもいいからまず英語を話すことは英語学習の第一歩です。そして、前回もある人の言葉を借りましたが、間違えから学ばないことは別の次元の間違えです。では、どのようにして学んでいけばいいでしょうか。

英語を間違えるとどうなるか

前回、英文法を間違えるとどういう状況になるかを述べましたが、今回は相手がいるコミュニケーションで何が起こるかを考えます。人に間違ったことを言うと、概ね以下のような捉え方をされます。

  1. 何を言いたいかは分かる
  2. 意味が通じない
  3. 違う意味が伝わる

最近よく見るテレビCMで、白人女性の山田さんが「子供のジュギョウカンセンです」と言っても、周りの誰も突っ込まないシーンがあります。これはありがちなことで、上記の1に該当します。この場合「実害」は無いでしょう。

気をつけるべきは似て非なる2と3です。言った意味が通じない時、聞き返してくれればいいのですが、それが悪いと思って黙ってしまう人は結構多いです。この場合、「何を言ってるか分からない」と顔に書いてある人がいるので、その時は学ぶチャンスですね。もちろん、聞き返されても英語の会話を続けるいいチャンスになります。

困るのは違う意味が伝わる、つまり誤解される時です。お互い間違えに気付かないこともあります。私自身、単純なミスで逆の意味が伝わった経験があります。誤解に気付かないと困りますが、気付いた時は学ぶチャンスになります。

間違えることで覚える

私が英語を習い始めた頃、とあるゲストハウスで、土曜日の朝のことです。たまたま居合わせたオーストラリア人にこう聞かれました。

No work today?

土曜日でしたので、「そうだ」という意味で私はこう答えました。

Yes.

その時のオーストラリア人の「はぁ?」という顔は今でも忘れられません。なんで土曜に仕事をするのか、仕事があるならなぜ今ここ (ゲストハウス) にいるのか、と。これは日本人に共通の間違えで、否定形で質問された場合、「そうだ」は「No」、「違う」は「Yes」になります。これは中学校で習うことですが、日本人は習慣的に「はい」を「Yes」、「いいえ」を「No」にしてしまいます。これは上記の3のパターンですね。

前回、間違えに気付いて「あっ!」と思うほうが深く記憶に残ると書いたのはこのことです。この出来事以来、私は否定形の質問の答え方を意識するようになりました。間違えを恐れて話さないと何も学びませんが、話して間違えて気付くことは英語学習で大事なことです。

ちなみに今では、否定形の質問に正しく答えられない人には、「Yes」や「No」の一言で済ませずに、短くても文章で答えるようにアドバイスしています。つまり、「Yes, I do」や、「No, it isn’t」といった感じです。ここで「No, I do」などと言えば自分でも間違えに気付くでしょう。

分からないことは学ぶチャンス

とは言え、英語を間違えたくないという気持ちが強い人は多いようで、せっかくネイティブスピーカーと会話をしているのに、分からないことがあるとその場で電子辞書で調べる人を何人も見てきました。これはもったいないですね。英語で何て言うか分からないことがあったら、別の言葉で言い換えて、それを何て言うのか聞いてみましょう。聞いてみること自体が英語の会話を練習することにもなります。

ある言葉を別の言葉で言い換えることは「paraphrase」と言い、これは実際英語の会話や文章でよく使われるテクニックです。特に英文の書き言葉では同じ言葉を繰り返すと稚拙な文章に見えるのでparaphraseは多用されます。もちろん、始めからキレイにparaphraseできる人は少ないと思いますが、分からない言葉があってもすぐに辞書を引く前に発想を変えて別の簡単な言葉で言ってみることが大事です。

例えば、ある英会話クラスでのこと。私は「地球外生物」の話をしたかったのですが、それを英語でなんと言うか知らなかったので、先生にこう聞きました。

What do you call creatures from outer space?

すると先生はこう答えました。

We call them creatures from outer space.

最初はからかわれたのかと思いましたが、本当にこういうそうです。これはparaphraseしたつもりが正解を言ってしまった稀なケースです。このような答えは望めなくても、まずは「What do you call…」と言うクセをつけてみましょう。分からないことは学ぶチャンス。聞くは一時も恥ではありません。それでも間違えるのが恥ずかしい人は旅に出ましょう。旅の恥はかき捨てですから。

大事なことは人とのコミュニケーション

上記の「No work today?」の事例から学べるもう一つの教訓は、人のコミュニケーションは言葉に限ったことではないということです。私は彼の顔に「はぁ?」と書いてあることに気付きました。次回は英語を学習する上で大切なコミュニケーションについてお話しましょう。

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