自分の土俵で英語を読む:多読の実践

多読とは、簡単に言うと英文をひたすら読み続けること。知らない単語があっても、文法を理解できなくても、止まらずに読み続けていくと、次第に見えてくるものがあります。時間はかかりますが、効果はあります。そんなの無理!と思いましたか?今回は、興味のある内容で割りと楽に多読を実践する方法を紹介します。

多読については以前「多読のすすめ:英文を読み続けると見えてくるもの」で概要を説明しました。そこで多読の教材について簡単に述べましたが、今回は例を挙げながらもう少し詳しくお話しします。大事なことは、「継続は力なり」。しかし、英語の多読を継続することは簡単ではないかもしれません。継続どころか、始めることににすら尻込みする人も少なくないでしょう。しかし多読には効果があるので、続けないのはもったいないです。多読を始めてそれを継続するためには、まずは自分が興味のある分野の題材を見つけることだと私は考えています。

自分の興味のある分野、「自分の土俵」で

自分の興味がある分野の題材を選ぶことにはいくつか利点があります。まず、意欲が違うでしょう。自然な英語を身につけることは受験英語のように苦役である必要はありません。読んでみたい、という意欲が沸く教材を選びましょう。

次に、興味がある分野の背景知識は読解の大きな手助けになります。私は翻訳の仕事をすることもありますが、大抵の翻訳者は自分の守備範囲を持っています。背景知識の有無が翻訳の質に大きく影響するからですね。背景知識のみならず、好きな分野であれば馴染みのある単語も比較的多いでしょう。まずは自分の土俵で勝負してみましょう。

多読の教材を選ぶ

自分の興味がある分野を見つけたら、その分野の「教材」を見つけることになりますが、この教材にも様々な選択肢があります。

ある程度の英文読解力があればどんなものでも多読の教材になります。英字新聞から小説や専門書ですら教材になり得ます。私はカナダの大学院に留学中に英語が鍛えられましたが、この時は必然的に英文の学術論文が多読の教材になっていました。

そこまで英文読解能力がなければ、例えば童話でも多読の教材になります。童話は比較的短い文章で書かれていることが多いでしょうし、難しい単語も少ないでしょう。日本語版を読んだことがあれば、それが「背景知識」になります。

本屋に行けば多読のための本を見つけることもできます。しかし、いきなり本を買うことに抵抗がある人にはインターネット上で教材を見つけるという選択肢もあります。

英文ニュースサイトで好きな分野の記事を読む

英文ニュースサイトを多読の教材にすることには2つの利点があると考えています。ひとつは多くの分野を扱っていると言うこと、もう一つは同じ内容を日本語で見れるサイトもあるということです。具体例を見てみましょう。どこぞの大統領に嫌われているCNNは実際にいい仕事をしていて(だから嫌われるのでしょうね)、「本家」は当然英語ですが、日本語サイトも充実しています。どちらも政治経済からスポーツ、芸能、旅行など幅広い分野を扱っています。

以下のサイトを見てみてください。

CNN International: https://edition.cnn.com/
CNN日本語版: https://www.cnn.co.jp/

私がお勧めするのは以下の手順です。

  1. 日本語サイトで興味のある記事を見つける
  2. 英文サイトでその記事の原文を検索する
  3. 読解に自信がない場合は事前に日本語の記事を一読する
  4. 英文の記事を読む。分からない単語があっても読み進める
  5. どうしても分からなければ日本語サイトを見る(ただし訳文とは限らない)

なぜ訳文ではないかもしれないか。これは次回お話しします。

具体的に記事を見つけてみましょう。私は考古学に興味があるので、この記事を読んでみたいと思いました。

密林に浮かび上がるマヤ文明の遺跡 レーザー技術で発見
https://www.cnn.co.jp/style/architecture/35115470.html

英文サイトに行き、画面右上にある検索ボタンをクリックして、キーワードである「マヤ:Mayan」と「レーザー:laser」を入力すると原文が簡単に見つかりました。

Laser mapping uncovers dozens of ancient Mayan cities
https://edition.cnn.com/style/article/ancient-mayan-structures-discovered/index.html

この二つの記事を読み比べるだけでも面白いことが分かるのですが、詳細は次回説明します。具体的には以下の点について考察します。

  1. 日本語と英語は本質的に違う
  2. 受験英語で習ったことが実際はどう使われているか
  3. 筆者の気持ちで読む

多読の主旨から少し逸れますが、英文のニュースサイトを読むと分かることは他にもあります。世界は日本をどう見るか、ということです。

世界は日本をどう見るか

このブログの副題は実は「活きた英語が身につけば世界が広がる」です。活きた英語を身につけるということは単に日英翻訳と英日翻訳に精通するというだけではなく、英語圏の文化を理解することも必要だと私は考えています。英語力に異文化理解が加わると、そこから世界は広がります。そのためには世界が日本をどう見るか理解することも一助になるでしょう。英文ニュースサイトには日本に関する記事を見つけることも多々あります。

例えば、昨日(9月4日)西日本を襲った強烈な台風が海外メディアでも紹介されたことは日本のニュースでも取り上げられていました。CNNも以下の記事を載せています。

Typhoon Jebi leaves trail of destruction in Japan
https://edition.cnn.com/2018/09/04/asia/japan-typhoon-jebi-intl/index.html

この記事は昨日掲載され、今日(9月5日)も更新されていました。この記事は基本的に事実のみを伝えていますが、考察も入る記事であれば日本と英語圏の国の考え方の違いが見られることもあります。今後機会があればそのような英文記事も紹介していきます。

次回は上述のように英語と日本語の記事を読み比べて見えてくることについてお話してみます。

「英語学習の四位一体」をもっと読む
他のカテゴリも見る

コメントを残す