負けるな人類:ディープラーニングでAIを見返せ

前回はAI、即ち人工知能による英語の自動翻訳が発達しても英語学習の必要性はなくならないという話をしました。英語を英語のまま理解して自分の思いを自分のコトバで伝えるためには自分の英語力を上げることが必要です。では、そのためにどうすればいいのでしょうか。
答えはディープラーニングにあると考えています。

今回は文法のお話をしますが、「そんなこと理解する必要あるの?」と考える人もきっといるでしょう。このことは次回話しますので、今日のところは退屈せずに読んでみてください。

ディープラーニングとは

ほんの少し前までの自動翻訳、いわゆる「機械翻訳」の結果はひどいものでした。文法的に間違ってはいないが、意味が通じない。それを変えたのがAIによる翻訳で、その基幹にあるのがディープラーニングです。機械翻訳は人が与えたルール、つまり文法に従って字義通り「変換」していたのに対して、ディープラーニングとは人工知能に日本文と英文の例文を与え続けることで自分で学習させて、自然な訳を導く技術です。

文法のルールのみに着目する機械翻訳が受験英語的アプローチなら、人が「ディープラーニング」を通して行う英語学習が活きた英語。私はそう考えます。

最近よく見るテレビCMで、この受験英語的アプローチについて考えさせられることがあります。

受験英語的アプローチ

そのテレビCMで、ある英語講師が可算名詞と不可算名詞の見分け方を説明しています。本は破ったら使えないが、紙は破っても使える。破ったら使えない本は可算名詞で、破っても使える紙は不可算名詞だ、と。
この説明はどうでしょうね。

「家具」に相当する「furniture」や「機器」に相当する「equipment」は破れたら使えない、と言うか破ることができませんが、不可算名詞です。一方、割っても食べられる「cookie」は可算名詞です。

一筋縄ではいかないようですね。

可算名詞と不可算名詞とは

話を進める前に可算名詞と不可算名詞について整理しておきましょう。
可算名詞(countable noun)とは1つ2つと数えられるもので、1つより多いと「s」が付いたり単語が変わったりします。前者は「one apple」が「two apples」になるようなもので、後者は「one goose」(ガチョウ)が「two geese」になるようなものです。

一方、不可算名詞(uncountable noun)は1つ2つと数えられないもので、代表格は「water」や上述の「paper」ですね。これは日本語にない概念なので、苦手とする日本人は多いようです。私もすべて理解しているわけではありません。

参考までに、机や椅子は1つ2つと数えられるのに、なぜfurnitureは不可算名詞なのか説明しておきましょう。Furnitureの語源は「furnish」で、これには「家具類を備えつける」という意味があります。私はカナダの大学院に留学していた時、お金がなかったので家具付きの部屋を借りていましたが、このような部屋は「furnished room」と呼ばれます。
つまり、机や椅子やベッドを備え付けることがfurnishで、備え付けられたものは集合的にfurnitureと呼ばれます。

しかし、これを一つひとつ覚えるのは大変ですよね、「(破ったら使えない)本は加算名詞、(破っても使える)紙は不可算名詞」といった感じに。でも、これが受験英語的アプローチです。

なんとなく理解する。

では、どうやって可算名詞と不可算名詞を覚えていくのがいいのでしょうか。一つひとつ覚えるのも大事ですが、私が考えるもう一つの方法は、繰り返し使うことでなんとなく覚える、言い換えると人間的ディープラーニングです。これは特別なことではありません。誰でも母国語はこうして身につけていきます。それを外国語でもする、ということです。

でも、どうすればなんとなく理解することができるでしょうか。

パターン認識

ひとつは、このブログで度々登場する「単語のカタマリ」をパターンとして覚えることです。これができれば、可算名詞と不可算名詞を意識することなく使い分けられるようになります。

例えば、不可算名詞を敢えて数える時は「a piece of」をつけることがあります。「a piece of cake」や「a piece of furniture」といった感じですね。これを単語のカタマリとして覚えられれば、究極的には意識しなくても不可算名詞として使うことができます。

一方、可算名詞であるcookieは「cookies」のように複数形で使われることが多いですね。これは単語の「カタマリ」ではありませんが、パターンとして認識できれば加算名詞であるとなんとなく理解できるようになります。

やはり大事なシャドーイング

とは言ったものの、どうしたらこのようなパターンを認識できるようになるでしょうか。経験上、声に出して言うと認識しやすいようです

英文を声に出すシャドーイングという学習方法について、その効能注意事項について以前説明しましたので、それを参照してください。このシャドーイングを繰り返すと、他人が言ったことを自分のコトバであるかの様に話せるようになり、やがていろんなことを自分のコトバとして言えるようになります。
この過程で、可算名詞や不可算名詞のようなものもパターンとして「なんとなく」覚えることもできるようになります。

たかが文法、されど文法

上述のようにどんなことも「なんとなく」理解できるようになればいいのですが、やはり理屈も時には必要です。けど、そもそもなぜ文法を理解する必要があるのでしょうか。

次回は、文法を理解する利点についてお話します。テストでいい点数を取るだけじゃないんですよ。

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「負けるな人類:ディープラーニングでAIを見返せ」への1件のフィードバック

  1. 繰り返し使うことでなんとなく覚える、言い換えると人間的ディープラーニングではありません。ディープラーニングとは脳が学習する仕組みです。言語の場合に達人を真似て、フィードバックで矯正と修正をします。繰り返し使うことでなんとなく覚えるのではなく、特徴を抽出しています。つまりパターン学習のためです。

    言語はディープラーニングですから、理屈で覚えておりません。母語で文法を学ばずに正しい表現が学習できるのはディープラーニングしているからです。事例基盤の言語は文法のような使い方を学ぶ用法基盤ではありません。

    たかが文法、されど文法ではなく、文法は必要ありません。言語の文法は多くの事例を覚える事で後から発見されているに過ぎません。言語の基本は理屈ではなく、多くの事例が集まっているだけです。

    その事例を覚えのがディープラーニングです。

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