前回はコミュニケーションとしての英会話について話しましたが、そもそも英語を聞くのも話すのも難しいですよね。シャドーイングの話をした時に強調しましたが、ListeninigとSpeakingは表裏一体で、合わせて上達させていくものです。会話もしかり。人との会話を通して英会話を習いたい人は、自分のSpeaking能力を高めるために「傾聴」することをお勧めします。
会話から英語を学ぶという選択肢
このウェブサイトについてのページに書きましたが、これをすれば英語が上達するという一つの方法はありません。英会話教室に通う、通信教育を受ける、ラジオ英会話を聴く、市販の教材を使う、あるいは聞き取りに特化するなら英語で映画やドラマを見ることも勉強になります。人それぞれ上達のさせ方は違うので、自分に合った方法を少なくとも2つ以上見つけられるといいでしょう。
気軽に英語を学びたい、またはお金をあまりかけたくないなどの理由で、外国人と知り合って英語で会話をすることで英語を習うことを選んだ人にも何人か会ってきました。洞察力があり吸収力が高い人はこの方法でメキメキ上達させることもできますが、意外に難しいと感じる人もいます。なぜでしょう。
人の間違えを直すのは難しい
前回も書きましたが、白人女性の山田さんが「子供のジュギョウカンセンです」と言っても誰も突っ込んでくれないのと同じように、会話中の間違えを直してくれる親切な人は多くありません。誰でも最初から正しい英語を話せることはなく、間違えながら学んでいくのですが、間違えに気付かなければ学ぶ機会を失ってしまいます。
表現方法を広げることは簡単ではない
私もそうでしたが、英会話を習い始めた頃の会話はこんな感じではないでしょうか。
- 相手が言ったことを和訳して理解する
- 何を言われたか分からない時は聞き取れた単語から全体の意味を類推する
- 何を言い返すか考える
- 考えたことを英訳して伝える
この最後のステップは、仕方のないことですが、受験英語的に英訳することが多いでしょう。私もそうでした。しかし、このままでは自然な英語表現、つまり活きた英語を身につけることは難しいでしょう。
会話から英語を学ぶことを選んだのであれば、相手の英語表現を「盗む」くらいの気持ちが必要かもしれません。
英語で傾聴
すでにお気付きかもしれませんが、このブログで英語の聞き取りは「Listening」という言葉を使い、「Hearing」とは言いません。受験英語では英語の聞き取りをヒアリングといいますが、Hearは「音が聞こえる」というような意味で、人の話を聞くのはListenになります。よく「英語が聞き取れない」という意味で「I can not hear English」と言う人がいますが、これでは聴覚に問題があるという意味になってしまいます。
「傾聴」は人の話に熱心に耳を傾けるという意味ですが、面白いことに、和英辞典で「傾聴」を引くと「Listen」が出てきます。傾聴せずに人の話を聞き流すのは「Hear」ということでしょうか。
先に書きましたが、会話を通じて自分の英語表現を広げるには相手の言葉を盗むくらいの気持ちが必要です。ここで大事なのが、英語のListeningが難しいということを承知の上で言わせていただきますが、「傾聴」です。
ただ、自分の英語表現を広げると言っても、始めのうちは聞き手に回ることが多いかもしれませんよね。つまり合いの手を入れることが多くなってしまうかもしれませんが、ここでも大事なのは傾聴です。
合いの手に徹して英語を学ぶ
英語の会話で合いの手を入れて学習する時に、次の言葉は使わないと約束してください。
Really?
この言葉は日本人が考えるほど多用されません。大勢の人がいる時にこの言葉が聞こえると「あ、日本人がいるんだ」と思うこともあります。では、何を言えばいいのでしょうか。
私がカナダの大学で工業デザインを勉強していた時、Human factorsを教えていた教授が、人の話をちゃんと聴いていることを示す方法として、相手が言った言葉の最後の3単語を繰り返すという方法を教えてくれました。例えばこんな感じでしょうか。
You know what? I felt like eating ramen after drinking, but it was already 2 am and my favourite ramen shop was closed.
Shop was closed?
Yeah. It’s so disappointing, eh? But guess what? I ended up eating yonaki soba instead, but it was unexpectedly very nice.
Unexpectedly very nice?
相手が言ったことに対して単純に最後の3つの単語を言い返しているだけですが、ちゃんと聴いていないと、つまり傾聴していないとできない合いの手です。しかも続けて「Really?」と聞き返すよりも会話が随分豊かに聞こえます。さらにこれをテンポ良くできるようになると「英語でコトバのキャッチボール」をする感覚がなんとなく分かってきます。
外国人との会話で聞き手に回ってしまっても、自分次第で成果は変わります。
聞き手に回ってしまっても英語を学ぶチャンスは他にもあります。次回も続けて会話から英語を学ぶコツについてお話します。ただ、少しレベルが上がります。