ガチな英会話

久々にカナダに出張で来ています。前回予告したのは英文Readingについてでしたが、せっかくなので今回の出張を通して学んだことや気付いたことをお話しましょう。文化的な話が中心になります。いつものように少し厳しい話もしますが、だからダメだ、ということではなく、そこからどうするべきかを考えていきます。

まずは背景から説明します。私は以前カナダにある日系企業に現地採用されて働いていました。M社としましょう。そのM社を退職することになった頃、協力関係にあった日本の会社がその業界で英語を使える人材を探していました。これが今働いているT社です。今はT社の社員として、かつて勤めていたM社に出張に来ています。

業務内容は、T社が協力しているプロジェクトの事務作業や、英語を話せないT社の社員のサポートが中心です。

仕事でガチな英会話

業務中にM社のカナダ人マネージャー達と打ち合わせをすることがありますが、そのうちの一人はかつての上司という、ちょっと複雑な状況です。日本の親会社やT社から来る、あまり英語が得意でない人達には優しい彼らも、かつての同僚だった私に対しては時に容赦なく、お蔭様で鍛えられています。

そんなガチな英会話から学んだことを少しお話します。上述のように文化的な話になりますので、TOEICの点数が上がるような実益はありませんが、ご了承ください。それでも、ビジネス英会話を目指す人は心構えとして知っていても損はないと思います。

コトバのキャッチボール

これは改めて話すほどのことでもないのですが、英語で打ち合わせをするにはコトバのキャッチボールをするくらいの英語力は必要ですね。つまり、英語で聞いたことを英語のまま理解して、思ったことをそのまま英語で伝える、ということです。厳しいことを言うと、ここに和訳・英訳ベースで会話をする日本人がいると会話がスムーズに進まず、話が行ったり来たりすることも多々あります。

誤解しないでいただきたいのですが、だから英語ができない人はダメだ、と言いたいわけではありません。この「和訳・英訳ベースの会話」、つまり聞いたことを和訳して理解して考えたことを英訳して話す会話は、もちろん私も含め、ゼロから英会話を習う人は誰もが通過する段階です。それでも会話になるので、そこで満足する人もいますが、自分のレベルに満足することは上達の終わりを意味します。

英会話の上達に行き詰っても、その先に目標を定めて自分にできることをすることが大事だと、私は信じています。

目は口ほどにものを言う

カナダ人マネージャー達と打ち合わせをしていて感覚的に違うな、と感じるのは、彼らは日本人と違って真っ直ぐに人の目を見て話す、ということです。日本で普通に生活しているとそれを感じることはありませんが、海外に来ると見えてくる日本人の習慣もあります。

例えば打ち合わせをしていて、彼らの目がこんなことを訴えてきたのを感じたこともあります。

「頼む、お前の『Yes』が必要だ」

「お前、本気で言ってるのか?」

「いい、分かってる、これは解決しなくちゃいけないの」

以前、英会話は人と人とのコミュニケーションだと言う話をした時、コミュニケーションにおいて言語が果たす役割は7%だという研究結果を紹介しました。残念ながら受験英語を一生懸命勉強しても役に立つのはこの7%だけかもしれません。こういうことを言うと歳をとった証拠ですが、若い人達を見ていて「大丈夫?」と思うことが時々あります。人の目を見ず、表情に何も出ない人とは、日本語で会話をしていてもコミュニケーションが難しいと感じることがあります。

コミュニケーションとしての英語を学びたいのであれば、英語を話す人の表情から学ぶこともあると意識してみてください。

冗談も交え、後を引きずらない

上記の2点は実は以前にもここでお話したことですが、今回の出張で日本人とカナダ人のコミュニケーションスタイルの違いとして新たに感じたことの一つは、カナダでは打ち合わせ中でも時には冗談を交えるということです。それは日本でよく見る、上司が親父ギャグを言って一人で満足している様子とは異なります。話が行き詰ったときでも、冗談を言って話を進めることもあります。実際、ユーモアのセンスがあることが才能として認められることもあります。

英会話を少しでも習ったことがある人は、英語で冗談を言うことは少し高度なレベルだということを知っているでしょう。英会話を習い始めた日本人が人を笑わせる時は、たいてい「小咄」をします。出来上がっているストーリーを英訳しながら話す感じですね。もちろん、それができるだけでも大したことです。が、せっかくなので、その場の雰囲気に合わせてポンと打てばパンと帰ってくるような冗談のやり取りを英語で言うことを目指しましょう。冗談であっても目標は高く、ということです。

もう一つ気付いたことは、厳しい打ち合わせをした後でも、それを引きずらないということです。これも日本でよく見る光景と違いますね(一つお断りしておきますと、これは私の経験に基づいて感じたことです。日本でも会議中に冗談を言って、厳しい打ち合わせをしても後を引きずらない職場があると信じたいです)。やはりここでも、その場の雰囲気に合わせてポンと言葉が出てくるような、自然な英会話を目指したいですね。

英会話、千里の道も一歩から

ビジネス英語では冗談ひとつでも高度なレベルが求められる、なんて思って尻込みしないでくださいね。実は今回同じT社から来ている人の中には、ほとんど英語を話せないけど、通訳の方の力を借りながらそれなりの仕事をしている人達がいます。次回はそんな人達を見て感じたことをお話します。何をするにも、千里の道も一歩から、ということです。

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