英文のReadingに必要な文法の知識

お待たせしました、今回は皆さんの大好きな英文法について話します。と言っても、「仮定法過去」や「not only A but also B」などの話ではありません(どちらも大事ですが)。英文のReadingにはどのような知識が必要で、そのために何をすれば良いか見ていきます。

前回の「多読のすすめ」で平易な文章で書かれた教材から始めるといいと書きましたが、今回は折角なのでAlbert Einsteinの「Relativity: The Special and General Theory」から一文を引用してみました。アインシュタインの相対性理論と言えば分かるでしょうか。少し読んでみましたが、理論の難解さに比べると分かりやすい文体でした、相対的に。
まずは下記の一文を読んでみてください。

As long as one was convinced that all natural phenomena were capable of representation with the help of classical mechanics, there was no need to doubt the validity of this principle of relativity.

これが英単語の羅列に見えた人、今はそれでも構いません。あきらめずにコツコツと学習を続けていきましょう。

先を予測しながら英文を英文として読む

英語学習の四位一体の話をした時に、英語の文章を読む時に行ったり来たりしているのは英語を英語として読めていないことだという、厳しいことを言いました。では上の一文を英語の語順で読んでいくとどうなるでしょうか。
前々回の「Reading & Writing、英文のリズムをつかむ」で、英文のリズムが分かると先を予測しながら読めるようになると書きました。どのように先を予測しながらこの引用文を読むか、詳しく見ていきましょう。

As long as:このカタマリは「○○の限り」という頻出表現。つまりこの後に「○○の限り」に相当する条件の一文が来て、その後に本文が来る

one was:この組み合わせで主語と述語(be動詞)になるので、この「one」が条件の一文の主語。尚、この「one」は「1」ではなく、漠然とした「人」という意味。

convinced that:「convince」は「確信させる」という意味の他動詞の受身形。つまりこの「that」の後に確信させる内容が一文で語られる。

all natural phenomena were:この組み合わせで主語と述語(be動詞)になるので、これが確信させる内容の主語:すべての自然現象は○○だった。尚、phenomenaはphenomenonの複数形。

capable of representation:「capable of」というカタマリで「(何かが)出来る」という意味:representation可能。この時点で「主語 – 述語 – 目的語」ときたので、thatに続く「確信させる内容の一文」は終わりかも

with the help of classical mechanics:「with the help of」というカタマリで「○○の助けを借りて」という意味で、これは確信させる内容の一文の条件となる。「classical mechanics」は物理を習った人なら「古典力学」だとピンと来る。

, (カンマ):確信させる内容の一文が終わったらしい。次に来るのがきっと本文だろう

there was no need to:このカタマリで「○○の必要なない」という意味。「there」が本文の主語で「was」が本文の動詞。文章に必ず一つある動詞がここにあった。「need to」の後には動詞の原型が来そうだ(いわゆる「to不定詞」)。

no need to doubt:「doubt」は「疑う」という動詞の原型。このカタマリで「疑う必要はない」という意味。これは他動詞として使われることが多いので、この後には大抵「何か」かthatで始まる一文が来る

the validity of「that」が来なかったから「何か」が来そうだ。「validity」は有効性や正当性などの意味がある。「the validity of」のカタマリで「○○の正当性」:何かの正当性を疑う必要はない。

this principle of relativity:上記の「何か」に相当するのが「この相対性原理」。オチだ。これも物理学を習った人ならピンと来るかも。

で、どうすれば英文を読めるようになるのか

かなり長い説明になりましたが、上記の内容すべてを慣れれば10秒足らずで考え、理解できるようになります。では、どのようにすれば慣れるのでしょうか。上記の説明で挙げたポイントをいくつか簡単に見ていきましょう。

単語のカタマリ

この「単語のカタマリ」という表現は過去にも何度か使っていますが、一般的にはイディオムや慣用表現などと呼ばれるものが含まれます。これを覚えていくには以下の2つの方法があります。

1. イディオムを扱った教材で勉強する
2. 多読を続けて、よく出てくる気になる単語のカタマリは辞書でその意味を調べる

どちらが良いかは人それぞれでしょう。両方をバランスよく行うことをお勧めします。2の場合、多読が目的ですので気にならなかったら読み流してしまっても構いません。

他動詞と自動詞

上記の説明でしれっと「『convince』は『確信させる』という意味の他動詞」と書きました。目的語が必要なのが他動詞で、必要ないのが自動詞です。例えば「stand」という動詞を「(何かを)立てる」という意味で使うのは他動詞、「立つ」という意味で使うと自動詞になります。

この他動詞と自動詞を区別すると先を予測しながら読むのが楽になります。つまり、それが他動詞だと分かれば何か目的語が続くと予測しながら読むことができます。

背景知識

私は理系で、物理が好きなので、「classical mechanics」や「principle of relativity」と言われてピンときますが、おそらく少数派でしょう。前回「多読のすすめ」で教材選びについて書いた時、好きな分野の教材を選ぶと書いたのはこのためです。

上記の引用文に「representation」という単語がありました。この単語にはいくつか意味がありますが、この引用文の前で何が語られていたかによってその意味が変わるかもしれませんので、ここでは敢えて訳しませんでした。相対性理論について詳しい人が読んだら、この「representation」の意味もピンときたかもしれません。

Readingの練習のためには自分が好きな分野の教材を選び、少しずつ背景知識を英語で理解できるようにしていきましょう。焦らず、少しずつでいいです。

英文Readingに必要な文法の知識

こう言われてみると、慣れてくれば高度な文法の知識がなくても相対性理論を読めるようになると思えませんか。

まぁ、現実はそこまで甘くはないので、次回以降もう少しReadingに必要な文法の知識について話していきます。とりあえず今は、受験英語的に「仮定法」やら「第五文型」やらを覚えなくても英文は読めるようになると思ってもらえればいいと思います。

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