Listening & Reading:「似て非なる」ものの共通項

ListeningとReadingは似て非なるもの。しかし「非」なるものと考えて、あまり関連付けていない人が多いのではないでしょうか。今まで英語学習の四位一体を説明する中で、英語独特の「リズム」や、英語を英語のまま理解することについて書いてきました。ListeningとReadingにはこれらの点で共通項があります。

Understanding, Reading and Listening

まず、私がカナダの大学院に留学していた時に気付いたことからお話します。

なぜか聞き取りにくい引用文の読み上げ

留学して最初の数ヶ月は、とにかく教授が言うことを理解するだけで大変で、特にいぶし銀の口調で語る年輩の教授の授業は恐怖でした。しばらくして聞き取りも少しは慣れてきましたが、どうしても聞き取りづらかったのは教授が本などの引用文を読み上げる時でした。実は今でも違和感を覚えます。これはなぜ起こるのでしょうか。読み上げる時はしゃべる時と何が違うか、私なりに考えてみました。

1. イントネーション(抑揚・語勢)が弱い
2. リズムが平坦

一つひとつの単語の中にも音の強弱があり、一つの文章の中にも抑揚があります。引用文を読み上げる時は後者の抑揚が低くなる傾向があるようです。また、しゃべる時は一つひとつの単語を同じペースで言うのではなく、カタマリの単語をまとめて言う傾向があります。これを「リズム」と呼びますが、読み上げる時はリズムが平坦、つまり文章の中の単語を同じペースで読む傾向があるようです。俗に言う「お経のような」読み方ですね。しゃべっている時よりも読み上げている時のほうが聞きにくいのは、これらの違いによると考えられます。

しかし、この引用文を目で読んだら理解できないかというと、そんなことはありません。前回2回に渡って英文のReadingについて書きましたが、英文を英語の語順のまま読むためには、先を予測しながら単語のカタマリとして理解していきます。

単語のカタマリを理解する:ListeningとReadingの違い

では、単語のカタマリを理解することがListeningとReadingの共通点であるとするならば、それぞれどのように認識しているのでしょうか。これも私なりに考えてみました。

Listeningで理解する

上記ですでに十分述べられていると思いますが、Listeningではリズムを理解することが大事です。ネイティブスピーカーがしゃべる時は、カタマリとして使われる一群の単語は、まるで一つの単語のように発音される傾向があります。以前「Listening & Speakingの基礎、シャドーイングの効能」で「グチャグチャ英語」という表現をしましたが、単語のカタマリはグチャグチャ英語になって発音されることがあります。このグチャグチャ英語は初心者にとっては大敵ですが、これに慣れると英語のカタマリを理解するための強い味方になります

これはつまり、Speakingではグチャグチャ英語が言えるようになると理解されやすくなるということも意味します。狐につままれた気分かもしれませんが、心の片隅に置いておいてください。

Readingで理解する

一方、ReadingではSpeakingのようなリズム感はありませんが、単語のカタマリは見えてくるようになります。これはもう、パターン認識に近いものがあります。

簡単な例を挙げてみましょう。学校で「not only A but also B」を習ったことを覚えている人は多いのではないでしょうか。これは活きた英語でも様々な場面で実際に使用される表現で、「A」と「B」に相当するものは一つの単語だったり、熟語だったり、短い文章だったりします(倒置法なんかも使われたりして)。ここで、最初の「not only」がパターンとして認識できれば、「A」に相当する部分が長くても、次の「but also」のパターン(「but」と「also」の間に何かが入る場合もある)を探しながら読むことができます。

では、どうすればパターン認識が出来るようになるか。私は「習って慣れろ」だと考えています。「習う」は慣用表現を知識として覚えること、「慣れる」は多読によってなんとなく理解することです。どちらに重きを置くかは人それぞれ違うでしょう。しかし、どちらかを疎かにすることなく、バランスよく身につけることが大事です。

パターン認識といえば、

ListeningでもReadingでも、その認識方法は違っても、単語のカタマリのパターンや文章の構成のパターンを認識することによって英語を英語の語順のままで理解するという共通点があります。このパターン認識に関連する、興味深い新聞記事を最近見つけました。次回はその新聞記事から話を発展させていきたいと思います。

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