英会話の上達段階と、到達点

1ヶ月のカナダ出張から帰ってきました。このブログを書き始めてから初めての海外です。一緒に仕事をした日本人の中には海外が初めてで英語を話せない人から、現地採用で通訳を務める人まで、様々でした。いい機会ですので、英語を習い始めた人なら誰もが経験するであろう英語の上達段階についてお話してみます。
前回は文化的な話が中心でしたが、今回はこのブログの初期にお話した「精神論」に戻ります。

ゼロからの英会話上達段階

私が英語を使う仕事をする時に「あの人は英語ができる人だから」と思われるのは、正直言って心外です。私も受験英語しか知らず、英語を話せない状態から上達を重ね、今でも更なる上達を目指しています。そんな私も経験した英会話上達の段階を私なりに考察して、それぞれの段階で何をするべきか考えていきます。

ひとつ理解していただきたいのは、それぞれの段階を経験する期間は人それぞれということです。例えば、私が「第一段階」と称する段階が数時間の人もいれば、何ヶ月に及ぶ人もいるようです。まずはそれぞれの段階の特徴から見ていきましょう。

第一段階:聞き役に徹する

初めて外国人と顔を合わせて、自分がそれまで英語だと思っていたものが全く役に立たないと思った人は少なくないでしょう。始めのうちは相手が言った言葉の中で聞き取れた単語から全体の意味を類推し、複数の人と会話している場合は、言われたことの意味がなんとなく分かった頃には会話が先に進んでいるのではないでしょうか。

この段階では聞き役に徹することが多いでしょう。

第二段階:単語で会話する

聞き役に徹しながら少しずつ英語に耳が慣れ始めた、あるいは早い段階から自分が発言せざるを得ない状況にある場合、多くの人は英単語を並べながら会話するようになります。私が今回一緒に仕事をした日本人には後者の場合が多いようです。

英語と日本語では語順が異なることをアタマでは理解できていても、考えている日本語の文章を日本語の語順のままで、分かるものから英単語にして口に出す傾向があるようで、時には日本語の単語が混ざることもあります。発音もカタカナ語のままであることが多いです。

そこにあるモノや、今しているコトはかろうじて説明できても、なぜそれをするか、また何をしてはいけないかを説明するのは難しいようです。

第三段階:受験英語で会話する

英語にもう少し耳が慣れて、英語を話すことに対する抵抗もなくなると、日本語で考えたことを受験英語的に英訳しながら文章で話すようになります。聞き取る時も、基本的には相手が言ったことを和訳して理解します。以前「和製英語」についてお話しましたが、この段階では和製英語も気付かぬままに使ってしまいます。

実は何年もカナダに駐在した経験があっても受験英語で会話する人は少なくありません。

以前英語学習の四位一体シャドーイングという学習方法を説明した時に、自分で発音できない英語の音は聞き取れないという、矛盾しているようにも聞こえる話をしました。受験英語で会話する人は単語を一つひとつ区切って発音するため、ネイティブスピーカーに特有の、前後の単語がくっついて発音される「グチャグチャ英語」は苦手な傾向があります。

第四段階:自然な英語

やがて英語を英語のまま理解して、アタマに浮かんだことをそのまま英語にして話せるようになり、話し方もグチャグチャ英語に近くなってきます。今回の出張で会った日本人通訳の方は、さすがに自然な英語を話していました。

英語が全く話せない、またはまだ初級レベルにいる人は「流暢な受験英語」と「自然な英語」の区別がつかず、どちらも「英語を話せる人」として認識してしまうようですが、これらは本質的に違います。そもそも英語と日本語は根本的に異なる言語で、受験英語は日本語を別の形に変換したものであり、基本的に日本語です。

Way to improve your English
英会話上達の道は決して平坦ではない

目標と限界という、身もフタも無い話

上述のようにそれぞれの段階でするべきことを考えていきますが、その前にもう一度目標についてお話します。

以前、英語学習では高い目標を持つことが大事だという話をしました。ある程度上達して、そのレベルに満足したら、それは上達の終わりを意味します。あるレベルに達したかったら、その先に目標を定めることです。

その一方で、誰しもが目標を達成することができるわけではないことも、ほぼ事実だろうと個人的には考えています。つまり、「限界」があると。私は経験上(自分の経験と他者の経験談を含め)「願いは叶う」や「Everything is possible」といった言葉は、一部の成功を収めた人達が言える美談だと考えています。これが事実だとしたら、つまり目標の手前に限界があるなら、高い目標を持って次の段階に進むために英語学習を続ける必要があるのでしょうか。

結論から言いますと、それでも目標に向かって努力する価値はあると思います。

まず第一に、冒頭でも述べましたが、それぞれの段階にいる期間は人により大きく異なります。英語学習の目標についてお話した時に「英語学習のLearning curve」についても述べました。英語学習は一般的なLearning curveと異なり、「ヒョコッ」と上達することを何度か経験し、その後の停滞期は「ヒョコッ体験」を重ねるたびに長くなると。つまり「限界」だと思っていたことが「停滞期」である可能性もあります。

次に、仮に努力が結果に結びつかなかったとしても、その努力によって得られる何かがあるかもしれません。

次回は、上記のことを踏まえ、それぞれの段階で考えるべきことについて考察してみます。

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