シャイな人の英会話上達法:英語で合いの手上級編

前回は外国人との会話で合いの手を入れて英語を上達させる方法を紹介しましたが、今回はそれを少し発展させます。もちろん目指す姿は堂々とコトバのキャッチボールをする、「英語で腹を割って話す」英会話術ですが、千里の道も一歩から。特にシャイな人は堂々と合いの手を入れることから始めてはいかがでしょうか。
実はここでも大事なのは、相手の言葉に熱心に耳を傾ける傾聴です。

前回は英語で合いの手を入れる時に「Really?」と言わないことを約束してくださいとお願いしましたが、今回は次の言葉を言わないと約束してください。

Oh my God!

これはネイティブスピーカーの間で「Really?」より使われる機会は多いようですが、「私は教科書が教えない英語を使っているのよ」という自負心だけはある日本人英語学習者が典型的に多用する表現で、慣れていない人が使うと非常に陳腐に聞こえます。何よりも、同じ表現を繰り返し使うとナントカの一つ覚えに聞こえます。

やはり外国人との会話から自然な英語を学び表現の幅を広げたいのであれば、相手の英語表現を「盗む」くらいの気持ちで傾聴することが必要でしょう。もちろんそれは言うほど簡単ではなく、習得には時間がかかりますが、まずは意識することです。くどいようですが、目標は高く、気は長く

では、具体的に何を意識すれば傾聴できるのでしょうか。

相手の言葉に2単語で聞き返す

前回は相手の言葉の最後の3単語を繰り返す方法を紹介しましたが、今回は1単語減って2単語です。それでも難易度はグッと上がってしまいます。
例えばこんな感じです。

Oh, yeah, the yonaki soba was really nice. And they have a secret.

Do they?

Yeah. It is ni-hachi soba and only made of shin-soba.

Is it?

Yup. I ended up eating two plates of yonaki soba.

Did you?

つまり相手が言った一文を、主語と動詞だけで聞き返します。これは英語のネイティブスピーカーが実際によく使う表現ですが、彼らは文字通り「ネイティブ」なので当然文法のことなど意識せずに自然に聞き返します。しかしこれを私達日本人がするには、まず相手が言うことを必死に聞き取って、構文を理解して主語と述語とその時制を聞き分け、さらに瞬時に適切な2単語に縮めて聞き返すことになります。

英語で合いの手「上級編」と言ったのはこのためです。慣れないうちは相当慎重に傾聴する必要があるでしょう。

尚、上記の各文では主語と動詞に下線がひいてあります。最初の文の「they have」を疑問形にすると「Do they?」、次の文の「It is」はそのまま「Is it?」、最後の文の「I ended (up)」は「Did you?」になります。

上記の例はかなり強調してありますが、実際は、例えば相手の最後の3単語を繰り返したり、まぁ時には「Really?」や「On my God!」を織り交ぜて、少しずつコトバのキャッチボールに近づけていくことになるでしょう。

スタートラインはそこじゃないんだ

やってみると、まぁできないでしょう。でも、それでいいんです。できないことを見付けることは新しいスタートラインを見付けることになります。

もしも英語のネイティブスピーカーとの会話で「Really?」と「On my God!」だけを言い返していたとすれば (実際にそうしている日本人英語学習者は多いです)、それは上達の足踏みを意味します。スタートラインを見付けられないまま、と言ってもいいでしょう。足踏みから一歩抜け出すためには高いところに目標を置く必要があり、そこでスタートラインに立ったことになります。

スタートラインはそこじゃないんだ
「スタートラインはそこじゃないんだ」はシンガーソングライター平野里沙さんの「スタートライン」という曲の一節です。関西や東海地方を中心に活動する平野里沙さんは他にもいろんな応援ソングを歌っています。

ひとつ注意することがあるとすれば、高い目標を持つことと矛盾して聞こえるかもしれませんが、完璧を求めないことも大事です。シャドーイングの注意事項でもお話しましたが、深追いするよりも大事なことは継続することです。

合いの手から始まる英会話

今はこんな偉そうなことを言っている私ですが、ここまで苦労して、今も苦労しています。本格的に英語に取り組み始めた契機はカナダの大学院留学でした。渡加前にすでにTOEICのスコアは900を超えていましたが、アウェーで生活を始めると自分の実力を思い知ることとなりました。
当初は人に言われたことにそのまま言い返すだけで精一杯でしたが、今思えばそれが良かったようです。例えばこんな感じでした。

Hi, I’m John.

Hi, I’m Hiro.

Hiro, what do you study?

I study industrial design. What do you study?

I study architecture. Nice to meet you.

Nice to meet you.

これはかなり簡略化していますが、基本的に人に言われたことをそのまま言い返して聞き返しているだけですね。でもこれが良かったんです。それすらできなければ「Hello, my name is Hiro.」と言い返していたでしょう、それが不自然だと気付かないまま。以前、

始めまして。 = Nice to meet you.

日本人独特の誤った認識だという話をしましたが、このことは誰に教わったわけでもなく、上記のような会話をしながら気付きました。自画自賛になってしまいますが、拙い「コトバのキャッチボール」の成果ですね。

この日本人独特の、初対面の人に対して開口一番に言う「Nice to meet you.」は和製英語ですが、もっとひどい、そもそも意味が通じないか、または違う意味になってしまう和製英語は多々あります。次回はこの「和製英語」についてお話したいと思います。

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